私たちの行動のうち、意識が占める割合はわずか1~3%、一方で無意識が占める割合は97%〜99%と言われています。つまり私たちの日々の行動を大きく左右するのはこの無意識の力です。ヒプノセラピーは、身体と心をリラックスして催眠状態にもっていき、無意識にダイレクトにアクセスできる心理療法です。
気が付けば、Youtubeやドラマに夢中になって、やるべきことが全く進んでいなかったりすることはありませんか?なんとなく心が重たいのに気づいていながら、忙しい毎日の生活に追われてほおっておいたりしていませんか?不安や緊張が突然胸に押し寄せてどうしたら良いのかわからなくなったり、夜、なかなか眠りにつけず、思考が堂々巡りしていたりする経験はありませんか?これらは、あなたが頑張りすぎていることを伝える無意識からの信号です。ヒプノセラピーは、そんなあなたの心に静かな癒しとポジティブな変化をもたらします。
ヒプノセラピー(催眠療法)とは
ヒプノセラピー(Hypnotherapy)
ヒプノセラピーは、身体と心をリラックスして催眠状態にもっていき、深層心理にアクセスする治療法です。催眠状態とは、意識がリラックスし集中した状態で、潜在意識にアクセスしやすくなる状態のことを指します。催眠にはいくつかの「深さ」のレベルがありますが、 ヒプノセラピーでは、覚醒と睡眠の中間の、心身ともにリラックスした状態であるアルファ波状態でおこなっていくます。 瞑想中の脳波もこのアルファ波の状態であり、集中力、元気、やる気のなどのエネルギーの源ともいわれています。
潜在意識に働きかけることで、心の奥にある問題や感情を解放することが容易になり、日常生活の雑念やストレスが取り除かれ、行動や思考のパターンを改善したり、問題への解決策を見出したりといったポジティブな変化を促すことができます。セッション中に深いリラックス状態を体験できますので、終了後はぐっすりと休んだ後のように心も身体もすっきりと軽やかになります。
ヒプノセラピーの歴史
ヒプノセラピー(催眠療法)は、古代の文明にまでそのルーツを遡ることができます。エジプトやギリシャでは、神殿での儀式の一環として、治癒や内面的な洞察を得るために催眠状態が利用されていました。また、インドや中国でも瞑想や気功の中に催眠的な技術が取り入れられていました。これらの文化では、心と体が密接に関係しているという考えのもと、意識を変容させることで癒しをもたらす方法が実践されていました。
近代的なヒプノセラピーの基礎を築いたのは、18世紀の医師フランツ・アントン・メスメル。その後、19世紀にはジェームズ・ブレイドがギリシャ語で「眠る」(hipnos)という意味をもつ言葉から、英語のヒプノシス(催眠)という言葉を生み出し、科学的に研究を進めました。20世紀になると、ミルトン・エリクソンが個々のクライアントに合わせた独自の手法を開発し、現代のヒプノセラピーの基盤を築きました。
ヒプノセラピーの3つの誤解
催眠療法というと、テレビなどで見る催眠術と混同する方も多いです。でも実は、研究によってその効果も証明され、病院や心理臨床クリニックでも治療の一環として使われる、れっきとした心理療法です。
①「催眠=コントロール」という誤解
実際には、催眠療法中もクライアントは完全に意識があり、自分の意志で行動することができます。催眠療法士はクライアントを導く役割を果たしますが、そうするかどうか決めるのはクライアントです。言うならば、クライアントがドライバーで催眠療法士はナビゲーターといった感じでしょうか。なにかを強制されるといったことは一切ありません。
②催眠にかかりやすい人とかかりにくい人がいるという誤解
ほとんどの人が催眠にかかることができます。催眠にかかりやすいかどうかは、その人の意志とリラックスの度合いによります。
③催眠療法は魔法のようなものだという誤解
催眠療法は、科学的根拠に基づいた治療法であり、特にストレス管理、不安、習慣の改善(例:禁煙)などに効果があります。魔法ではなく、心理学と生理学に基づいた手法です。
ヒプノセラピーの効果
メンタルケアから自己探求まで幅広く対応
現在では、ヒプノセラピーは不眠の改善や痛みの緩和、恐怖症の克服といったメンタルケアから習慣改善、パフォーマンス向上など、医療からスポーツまで多岐にわたる分野で利用されています。
①メンタルケア
たとえば、職場で過剰なストレスや人間関係の悩みを抱え、不眠に悩んでいた会社員の男性は、ヒプノセラピーを通じて不安の原因を深く掘り下げると同時に、深くリラックスできる自己催眠のスキルを習得。その結果、質の高い睡眠を取り戻し、日々の生活にも前向きな変化が生まれました。
また、10年以上運転恐怖症に悩んでいた女性は、ヒプノセラピーのセッションを通じて恐怖の根本に向き合いました。そしてセッションを重ねるごとに、運転中に感じていた極度の不安や緊張感が軽減し、今では運転中も落ち着いていられるようになりました。
②習慣改善とモチベ―ションアップ
また、ヒプノセラピーは習慣改善とモチベーションアップのツールとしても活用されています。ある女性は、ここ数年間ダイエットに取り組んでもうまく続かないことで、自分を肯定的に見ることが出来なくなっていました。そこで、ヒプノセラピーを受けてダイエットが続かない原因を掘り下げると同時に、無意識の部分から自分を認め自信を回復することで、ダイエットにも成功することができました。
③自己肯定感の向上と自己探求
さらには、ヒプノセラピーは自己探求のツールとしても使われます。ある女性は、結婚まで考えた恋人と別れた後、自分に自信が持てずに何もかもがイヤになり、仕事もやめることにしました。セッションを通じて幼少期の出来事が現在の自己評価に影響していることに気づき、無意識に眠る価値観や感情を掘り起こすことで、自分を肯定する視点を取り戻して、新しい挑戦を始める勇気を得ることができました。
ヒプノセラピーは、私たちの「思考や行動の97%を司る」と言われている無意識の力を利用し、ただリラックスするだけでなく、これまでの習慣を改善したり、自信を取り戻したりするための非常に効果的な手法です。また、心の奥深くにアクセスすることで、新たな気づきを得たり、ポジティブな変化を引き起こしたりするサポートもしてくれます。
ヒプノセラピーを受ける際の注意点
ヒプノセラピーは、心と体のバランスを整え、ポジティブな変化をサポートするセラピーです。補助的な心理療法として用いられることが多く、医学的な治療や診断の代わりにはなりません。また、効果は個人によって異なるため、無理なく取り入れることが大切です。
心身の不調で通院されている方やお薬を飲まれている方、すでに診断名がついて精神科や心療内科などにかかっていらっしゃる方でも、ヒプノセラピーを受けることは可能です。また、リラックスしながら無理なく自分を変えたい方にもおすすめです。
まとめ
ヒプノセラピーは、催眠状態を活用して心と体の健康を支える心理療法です。その歴史は古く、現在では医療分野でのメンタルケアやストレスケアに加え、パフォーマンス向上や自己探求のツールとしても広く使われています。「思考や行動の97%を司る」といわれる無意識の力に働きかけることで、内面にポジティブな変化を引き起こすことが可能な、とてもパワフルなツールです。ヒプノセラピーを通じて、あなたが本当に望む新しい自分に出会ってみませんか?