子供が長期のストレスを乗り切るために親が気を付けるべき5つのガイドライン

子供がストレスを乗り切るために親が気を付けるべき5つのガイドライン

空港が閉鎖され、学校は休校になり、長期にわたって外出禁止令がでる。誰が2020年のこのような幕開けを予想していたでしょうか?

海外では、ロックダウンや自宅待機、ソーシャルディスタンシングなどが積極的にとられていますが、なぜそうなのかを理解するには、こちらのワシントンポストのシュミレーションを見ていただくとわかりやすいと思います。

ワシントンポスト記事:コロナウイルスなどのアウトブレイクは、なぜ急速に拡大し、どのように「曲線を平らにする」ことができるのか

様々な情報と、目の見えない物に対する不安に、大人の私たちでも心を揺さぶられますが、それは子供でも同じ。しかも子供達はそれに加えて、身近にいる親の感情を敏感に察知します。

一ヵ月にわたる自宅待機警告が出ているマレーシアでは、用のない外出は禁止されています。そんな中の息抜きに 誰もいない家の裏の小さな公園に、7歳の次男を連れ出しました。そうしたら、自宅から100メートルも離れていないのに、次男が「ママ、帰ろう。コロナウイルスに感染するかもしれないよ。」と私の手を引っ張るのです。

「どうして?」と聞くと、「だって、僕たちマスクしてないから」という返事。

私は、「大丈夫だよ。ここには誰も人はいないし。」というと、次男は遠くにいる近所のおじさんを指さして、「でもあのおじさんからうつるかもしれないよ。」

ああ、この子なりに不安と戦っているんだなと思いました。

長期にわたるストレスに対応するために親が心がけたいこと

長期間にわたるストレスは、成長途中の子供に心理的な負荷を与えるという研究結果もあります。私たちは、自分や家族をウイルスの感染から守るだけではなく、感染の広がりによる不安やストレスからも守らなくてはなりません。

世界保健機構(WHO)はコロナウイルス感染が世界中に広まっている時期に、子供がストレスに対応するために親ができる5つのガイドライン(英語名:「Helping children cope with stress during the 2019-nCoV outbreak」)をアドバイスしています。日本語訳をこちらに載せますね。

  • 子供たちは、例えば、そばから離れなくなったり、不安になったり、いつもよりも静かだったり、怒ったり、動揺したり、おねしょをしたり…とストレスに対してさまざまな反応を示すことがあります。子供のそういったストレスにたいする反応を温かくうけとめ、子供の悩みに耳を傾け、いつも以上に愛情を示し気を配りましょう。
  • 子供は、このような大変な時期には大人の愛と気配りが必要です。いつも以上に時間をかけて見守ってあげましょう。しっかりと子供たちの言うことに耳を傾け、優しく語りかけ、安心させてあげましょう。可能であれば、子供たちが安心して遊んだりリラックスできる機会を作ってあげましょう。
  • できる限り子供たちは親や親族のそばにおき、親や世話人から引き離さないようにしましょう。もし(病院に入院するなどの理由で)引き離さないとならないことがあるのであれば、(電話などで)定期的に話ができる機会を設け、安心させてあげましょう。
  • 生活リズムを整え、スケジュールのある生活ををできるだけ心がけましょう。新しい環境においても、学校/学習や遊び、そして気晴らしがでいるようなスケジュールを確立できるようサポートしましょう。
  • 子供が理解できる言葉で、今何が起こっているのか、またどのようにしたらウイルスに感染するリスクを減らせるのか、明確な情報を与えましょう。これには(例えば、もし家族や自分の気分がわるくなったら、お医者さんに治してもらうために病院に行かなくてはならないかもしれないことなど)これから何が起こるかということを子供が安心できる方法で伝えましょう。

英語版のポスターはこちらからダウンロードできます。

何よりも子供に伝えるべきは、安心感です。

ただし、ただ「大丈夫だよ」と言葉で伝えても、子供たちは親に不安があれば敏感に感じ取ってしまいます。私たち自身が安心していないと、本当の安心感を伝えるのは難しいかもしれません。

そのためにも、まずは自分の不安要素を減らすこと(長時間テレビやSNSで不安をあおるような記事を見ない。人と話をする。しっかり睡眠をとり、運動をする。好きなことをして好きなものを食べる等)が必要です。

コロナウイルスに関する子供向けの動画

《日本語子供向け動画》

コロナウイルスについて①輪~⑩話まであります。

《英語子供向け動画》

まとめ

まだまだこれから続くストレスと、子どもたちがうまく付き合っていくためには、正しい情報と、日々の生活リズムの確保、そして親が会話や行動で愛情や安心感を伝えることが一番です。

そして、そのためには自分自身の健康だけではなくメンタルヘルスに十分気を付けて、不安をため込まないようにしてくださいね。 ただ不安を見て見ぬふりをしたり、否定するのではなく、不安であることを口に出し、その気持ちを家族と共有する機会を設ける。不必要に不安をあおることなく、普段の生活を心がけ、今できることに喜びを見出すことも大切です。

最後に、不安に押しつぶされそうなときには、ぜひ信頼できる家族や友人、心の専門家に話してみることが大切です。こんなときこそ、皆助け合いたいと思っています。一人で何とかしようと思わずに、助けたいと思っている人の手を握る勇気をもってください。

子供がストレスを乗り切るために親が気を付けるべき5つのガイドライン

ABOUTこの記事をかいた人

マレーシア在住 心理カウンセラー・アロマクラフト講師。海外在住歴20年以上の経験から海外在住者ならではのお悩みや、国際結婚をした女性を対象としたカウンセリングを得意とする。子育てや夫婦関係の悩み、親子関係のトラウマなどを感情から開放するセラピーをオンラインにて提供中。