健全な家庭と不健全な家庭、そしてアダルトチルドレンの克服方法

アダルトチルドレン

子育てと言うとしつけや勉強それに伴い「子供にどんな声掛けをして、何をさせるか」といった子どもとの直接的なかかわりがクローズアップされがちですが、それよりももっと大切なのは家庭環境を健全なものに整えることです。なぜかというと、健全な家庭で育った子供は、自ずと自己肯定感が高くなり、逆境を乗り越える力が身に付くからです。

今回は、健全な家庭がどういったもので、それと対照的に不健全な家庭とはどういった感じなのか、不健全な家庭で育った人がなりやすいアダルトチルドレンとはどういったものなのか、そしてその克服方法についてお話しします。

健全な家庭とは

健全な家族は、風通しの良い家族とも言えます。コミュニケーションを大切にして、問題があれば話し合い、感情を率直に表現することができます。家族で楽しみや喜びを分かち合い、成長や変化を喜びあいます。家族としての一体感を感じつつも、人格や個々のプライバシーが尊重され、各々が自分のことを大事にすることができます。

健全な家庭は、子どもの心と体の安全基地です。安全基地では、身体的な安全が確保され、生きるために必要な衣食住が提供されるだけでなく、社会に出るための基本的なルールや心構えが身に付きます。健全な家庭は心のよりどころとなり、逆境を乗り越える勇気を与えてくれます。

私たちが自己実現を果たすためには、失敗や成功を繰り返しながら社会に出て独り立ちすることが求められます。そのために家庭が、辛い時や不安な時にいつでも戻ってこれる安心安全な場所であることが大切です。

健全な家庭での親の役割

健全な家庭では、親がこの3つの役割を担っています。

  1. 安心感:衣食住の提供と心と体の安全を維持する。
  2. 自我尊重:子どもを一人の人間として受け入れ、認め、尊重する。
  3. ガイダンス:社会の一員として知っておくべき基本的なルールや心構えを教える。

子どもが問題行動を起こすときは、安心感、自我尊重、ガイダンスのうちのどれかがうまく機能していないことが多いです。例えば、安心感がないと、子どもはいつも母親の注目を引くような行動をしますし、自我が尊重してもらえないと、自分に対して自信が持てません。ガイダンスは多すぎると過干渉・過保護になり、親に反発する子どもも出てくるでしょう。またガイダンスが全くないと、子どもは社会性が身につかず、非行に走ることもあります。

不健全な家庭(機能不全家族)

不健全な家族は機能不全家族ともいい、本来家庭にあるべき機能が健全に機能していない家庭のことを指します。例えば、身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、や育児放棄(ネグレクト)などが代表的な例です。子どもの心と体の安全が確保されず、社会で生きていくための基本的なガイダンスが欠けていたりすることもあります。

不健全な家庭にはストレスが日常的に存在し、子どもの心と体の健全な発育を脅かします。そのような家庭環境を作る親は、感情的に未熟だったり精神的に不安定であることも多いです。例えば、親がアルコール依存症やギャンブル依存症だったり、何らかの精神疾患を抱えていたりすると、親が親の役割を果たせずに子どもに過剰に依存してしまうことがあります。また、子どもへの過度の期待や認知の偏りによって、過剰なしつけやルール、体罰を押し付けたりすることもあります。などもこのような親は子どもの毒になる親という意味で「毒親」と呼ばれることもあります。

不健全な家庭では、親が子どもをコントロールし、自立を妨げ、言動に否定的だったりするので、自尊感情や自己評価が低くなる傾向にあります。子どものときにそのような家庭で育ち、成人してからも生きにくさや心に傷を抱えている人のことを「アダルトチルドレン」といいます。

アダルトチルドレンは、対人関係において相手との距離感が適切に取るのが苦手です。他人から認められたいという気持ちが強く、本当は嫌なのについつい周りの期待に応えてしまったり、頼み事を断れなかったりします。自分の感情が自分でわからず、生きることに楽しみを見出せず、自分が何者かさえわからないこともあります。中には、摂食障害(拒食症、過食症、過食嘔吐など)を起こしていたり、アルコールや薬物(医師からの処方薬剤も含む)の依存症になったり、抑うつ状態に陥いることもあります。

子どもの自己肯定感を高める声かけ集

アダルトチルドレンのタイプ

アメリカのセラピスト、クリッツバーグによると、アダルトチルドレンには6つのタイプがあるとのことです。

ヒーロー

苦しんでいる家族を支えて助ける役割。勉強やスポーツで頑張り、家庭でも「よい子」を演じて、家族を支えようとします。ヒーローの役割と担うと、周りからの評価が気になり、出来ない自分は認められないと感じて、頑張り続けることになります。

ピエロ(道化師)

子供時代に育った環境が常に緊張状態にあり、自分が周囲に気を使わないと、家族の誰かが不機嫌になる環境にさらされていたりしたため、おちゃらけたり、笑いを誘うような行動で、家族間のいさかいを避けようとします。ピエロは、自己評価が低く、なにかに怯えたり、不安な気持ちを隠します。自分の感情を表すことができず、限界まで「つらい」「助けて」と言えないこともあります。

プラケーター(慰め役)

問題を抱える親の、一番の理解者として共感し慰めます。優しい反面、自分のニーズよりもまわりのニーズを最優先させ、自分を犠牲にする傾向にあります。大人になってからも、自信のなさそうな人、困っている人を見ると放っておけないところが特徴です。

ケアテイカー(リトルナース・世話役)

問題のある親の代わりに親の役割を担い、家族の世話をします。親の責任の肩代わりをすることで、その問題となる親が感じるべき後悔や痛みを軽減しています。相手に対する深い思いやりがある反面、誰かに尽くさないと、自分の価値が感じられないという状況に陥りがちです。

スケープゴート(身代り役)

家族の手を煩わせ、家族から叱られ、心配される厄介者。家族の中で一番の問題児となり、一家の中のダメな部分をすべて背負います。罪もないのに悪者にされ、犠牲になり、責任を負わされるのが、スケープゴートです。家族は彼がいなくなればすべてうまくなると、向き合うべき真の問題から家族の目を反らすことで家族のバランスを保っています。

ロストワン(迷子の子)

普段からあまり目立たず、自分から意思を主張したりしないで、存在感がない状態を作り、自分が傷つくことを防いでいます。周囲からはほおっておいても大丈夫と思われています。本人は放っておかれることに慣れてしまい、却って存在に気づかれたり意識されることに苦手意識を感じるようになります。

子どもは、機能不全家族で育っていくうちに家族を支えるためにこのような役割を自然と請け負ってしまいます。そして成人したあとに、周り人とも同じような関係を築いてしまうことも多いです。例えば、結婚して子供が生まれた時に、子どものときにされて嫌だった親の行動と同じことを子どもにしてしまったり、夫に対して過去に親に対して持っていたときと同じような感情を持ってしまうこともあります。

アダルトチルドレン(AC)は、大人になっても健全な人間関係を育むことに難しさを感じますが、現在持つ生きづらさや人間関係の悩みも、もとをただせば子供時代の親子関係が発端である可能性が高いとも言えます。

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アダルトチルドレンの克服法

アダルトチルドレンは子どもの頃、親の顔色を伺いながら自分の感情を殺して生きてきたので、自分の本当の感情に気が付くことが苦手だったり、我慢を強いられて親の思い通りに行動してきたために、自分が何をしたいのかがわからなかったりするかもしれません。ですから、そんなアダルトチルドレンを克服するには、自分の子ども時代を客観的に見つめなおす必要があります。

アダルトチルドレンから回復するステップとして、「アダルトチルドレン(AC概念)」の生みの親であるクラウディア・ブラックは、回復の4つのステップを説明しています。

まずステップ1では、安心安全な場で過去の体験を話し、自分の中の失ったものに気づき、過去の感情を開放します。次にステップ2では、その過去の体験が現在の自分にどう影響しているかを振り返り、今の自分にある課題に気づきます。

そしてステップ3では、偏った思考や不適切なルールを手放して、より適切な考え方やルールへと書き換えていきます。たとえば、「人の要求を断ってはいけない」といった考え方を持っていたら、それを「私はやりたくない事にはNOと言っていい」、「ネガティブな感情を感じてはいけない」と思っていたら「どんな感情でも感じていい」のように書き換えていきます。最後にステップ4では、書き換えた新しい考え方やルールを練習しながら身に着けていきます。

最近では、アダルトチルドレンを対象にした自助グループもありますし、アダルトチルドレン克服本などもたくさん出ています。しかし、すべてのステップを自分だけでやるのは難しいと思います。心理カウンセリングでは、インナーチャイルドセラピー、ナラティブセラピー、認知行動療法、アサーティブネストレーニングといった手法を取り入れ、アダルトチルドレンを克服するサポートができますので、より早く確実にアダルトチルドレンを克服したい方は、専門家に相談されることをお勧めします。

さいごに

今、感じている悩みや生きづらさは、もしかしたら子どもの頃の体験と繋がっているかもしれません。アダルトチルドレンに関する研究は進んでおり、その治療方法も確立しています。もし、自分はアダルトチルドレンではないか?とお考えであれば、ぜひカウンセリングのドアをたたかれることをお勧めします。

グリーンビューティーラボでは、経験豊かな女性カウンセラーが、あなたのお悩みに寄り添います。45分の無料相談を受け付けていますので、気になる方はぜひご相談ください。

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ABOUTこの記事をかいた人

マレーシア在住 心理カウンセラー・ヒプノセラピスト。海外在住歴20年以上の経験から海外在住者ならではのお悩みや、国際結婚をした女性を対象としたカウンセリングを得意とする。子育てや人間関係の悩みから過去のトラウマや恐怖症の克服など様々なお悩みに幅広く対応。カウンセリングと催眠療法・タッピングなどを組み合わせた独自の心理療法で、ポジティブな変化を促すとともに、自分に自信がもてるようになることを目指している。