家の中にいる人のネガティブな感情に引きずられて、自分もネガティブに感じることってありませんか?
- 子どもが不登校で、学校に行けない子どもをみていると自分も不安になる
- 反抗期でイライラしている子どもにイライラする
- リモートワークでピリピリするご主人をみるだけでストレス
家族の気持ちに共感してあげることは大切ですが、自分までネガティブになってしまっていては、負の連鎖です。こんなお悩みを抱える方に向けて、どうして家族がネガティブに感じていると自分もストレスなのか?そしてどう対処したらいいのか?についてこのコラムとポッドキャストでお伝えしますね。
感情は伝染するもの
例えば映画やドラマに感情移入して悲しい気持ちになったり、感動したりすることはありますか?
心理学ではこのように、誰かの感情が移ることを「情動感染」といいます。情動感染というのは、「共感」の原初出来な形態だといわれていて、犬やサルなどの、高等な哺乳類において同じようなことが起こるということも分かっています。
飼い犬が、飼い主が悲しんでいると傍に来て心配そうに見つめたり手や顔をなめてくれるシーンを見たことがあるかと思います。これは、飼い主の感情が犬にも伝わっているんです。
「共感」が社会的本能の最も需要な一要素として自然淘汰によって発達した
チャールズダーウィン
哺乳類の間では、餌のありかや生殖の機会を喜びや興奮で伝え、危険は恐怖や不安なので伝えあいました。哺乳類は群れで生活することが多いですので、種を増やし、仲間の生存を助けることがそのまま生存に繋がっていました。だから、感情の共有能力が高ければ高いほどサバイバルの確率が高かったんです。
感情の感染の特徴
「情動感染」は人と人との関係性に大きく依存するといわれています。自分に近い人、友人、可愛い物などにはより強く共感するということがわかっています。
また、ポジティブな感情より、ネガティブな感情の方が伝染する力が高いといわれています。ストレスを感じている人を目にしただけで、26%の人がコルチゾールというストレスホルモンのレベルが高まった、という研究結果もあります。
ただ、生存のためにはこの能力は必要だったけど、悩みが複雑化する現代において、「情動感染」に振り回されてしまってはストレスが増えるばかりですよね。
感情の感染を防ぐには
では、ネガティブな感情からの影響を少なくするには、どうしたらよいでしょうか?
1. 感情はうつるということを意識する
喜んだり楽しそうにしている人のそばに居れば、自分も楽しくなるし、逆にイライラしたり不安な人のそばに居れば自分のイライラしたり不安になるということを意識してください。もし、家族の一人がイライラしているときには、なるべく近寄らないでそっとしておくことで、自分にその感情が移ることを防ぐことも可能です。
2. 感情のマネジメントの方法を学ぶ
自分の感情は自分で選べます。ネガティブな感情にただ無抵抗に引きずられるのではなく、まずは自分の気持ちは自分でコントロールするという意識を持ちましょう。
感情のマネジメント方法を身に着けると周りの人の感情に引きずられることなく、もっと穏やかに一日を送ることができるようになります。
3.感情のバウンダリーをひく
特に、学校に行けなくて不安な子どもや、反抗期でイライラしている子どもに悩む方は多いかもしれません。不安やイライラはその子にしてみれば当然の話です。でも、それはお子さんの感情であり、ママの感情ではありません。
関連記事:人間関係の境界線バウンダリーを引くための4つのステップ
ここにしっかりバウンダリーをひき、じゃあ、あなたは家庭において、どんな感情があることが理想的か?というのを意識してみましょう。
4.ネガティブから離れ、自分だけのポジティブな空間を保つ
自分の気持ちをポジティブに保てるような空間をつくり、そこで自分の気持ちがポジティブになれることをしましょう。楽しい事や好きなことに没頭したり、運動をするのも効果的です。
5.ネガティブ感情を持つ相手がポジティブになれるように手助けできる機会ととらえる
家族がネガティブな気持ちの時に、自分が楽しいことをしていると罪悪感を覚える方もいるかと思います。しかし、感情とはその人のものだし、あなたはあなたの感情を持っていいのです。
感情は伝染します。あなたがポジティブだとそれが周りに伝染するとも言えます。ですから、もし誰かがネガティブであっても、自分がポジティブでいることは相手もポジティブになれるように手助けする挑戦の機会ととらえ、笑顔や微笑み、元気づけの言葉をかけてあげましょう。
そのためにも、ご自身がまず先に自分の心のメンテナンスをすることが必要です。
ママは家庭における「太陽」になれる存在です。子どもが不安でも、悲しくても、辛くても、イライラしていても、「大丈夫だよ」と言ってくれる存在がいると心も安らぎますよ。
さいごに
同じ空間にネガティブな人がいると、なんだか自分まで気分が落ち込んでしまうもの。でも、自分までそのネガティブに引きずられては、なにもいい結果にはなりません。
今回は、私たちのサバイバル本能としての「共感力」についてと、どうしたら感染せずにいられるか?その5つの方法についてお伝えしました。