お友達を「叩く、つねる」子どもへの対処法

お友達を「叩く、つねる」 子どもへの対処法

お友達と仲良く遊んでいると思ったらそのお友達を突然叩いたり、機嫌よく遊んでいる弟や妹をつねったり…口より先に手が出てしまうお子さんにハラハラしていませんか?

「叩いたらダメだって言ったよね?」「なんでお友達を叩くの?叩いたら痛いでしょ!」「なんであなたはそんな意地悪ばっかりするの?」などと、怒ってしまいたくなります。

怒ったり諭したりしても、また同じことを繰り返してしまう…どうやって止めさせればいいの?と頭を抱えている方もいるかもしれませんね。

今回は、子どもが叩いたりつねったりする理由とその心理、そしてその対処法についてお話しします。音声で聞きたい方は、ポッドキャストの再生ボタンをクリックしてください。文章で読みたい方は、そのままお読みください。

子どもが叩く理由

1.まだ言葉が追い付かない

お子さんがまわりの子どもを叩いたりつねったりと、意地悪したりするのは、一つは言語コミュニケーションがまだ苦手だからというのがあります。特に小さな子どもは、まだまだ自分の言いたいことを言葉だけで表現できません。遊びたいおもちゃをお友達に取られてしまうと、「ダメ!私の!」という言葉のかわりに叩くという行動になって現れたりします。

2.子どもは脳の機能が未発達

衝動をコントロールする前頭葉の発達のピークは10代に入ってからです。つまり、小さな子どもの前頭葉はまだまだ未発達な状態なので、とっさに手が出るといった衝動的な行動を理性で止めることができません。いくら「叩いちゃだめだ」と頭では理解できても、いざという時に自分の行動に急ブレーキが利かないのです。

3.不安やストレスを感じていないか?

例えば環境の変化や、家庭や学校でのストレスが「叩く、つねる」といった行動になって現れることがあります。親でさえも、環境の変化や家庭や職場のストレスが重なると、イライラしたり落ち着かなくなります。子どもの場合は、例えば、弟や妹が生まれた、親や祖父母の病気や死、両親の不和、引っ越しなどはとても大きなストレスとなる出来事です。

もしそういったストレスの疑いがあるのであれば、子どもの話をじっくり聞いてあげる時間を設けたり、スキンシップを大目にしたり、ストレスを発散できるような遊びを取り入れたりして、子どもの不安やストレスをやわらげてあげましょう。

4.叩くつねるなどの行為を見慣れている

「叩く、つねる」という行為を目にする機会が多い子どもは、自分が誰かに叩いたりつねったりすることへのハードルが低くなる可能性があります。例えば、テレビやゲームで叩くシーンが多いものを見ていたり、自分の兄弟や自分自身がよく叩かれたりつねられたりしていると、自分が他の人に叩くことやつねることに対して、してはダメだという意識が薄くなり、自然とまねをするようになってしまいます。「叩く、つねる」という行動を、どこで学んでいるのかをあらためて考えてみてください。

もし、子どもが戦闘ごっこなどで相手を叩いてしまうのであれば、戦闘ごっこの時のルールなどを決めるといいでしょう。例えば、顔は叩かない、力は込めないでゆっくり優しく戦うふりをする、武器は強く振り回さないなど。親も一緒になって遊んで、「これはしていいけどこれはダメだね。」と見せることで、子どもの理解も深まります。

叩く子への心理とその対処法

1.叩かずに仲良く遊べる環境づくりをする

「せっかく同じ年頃の子がいるから、一緒に遊んでお友達を作ろう。」と考えるお母さんもいるかもしれませんが、おもちゃの取り合いになったり、一緒にいてケンカになるのであれば、子どもも大人もストレスを感じるだけです。

そういう時は無理に子ども同士を同じ場所で一緒に遊ばせるのではなく、ちょっと離れた場所で遊ばせるといいでしょう。こういう遊ばせ方を並行遊びと呼びます。

例えば、砂場で一人のお子さんは穴を掘り、もう一人は別のところで山を作り、もう一人は型に砂を入れてケーキ屋さんを作る…といった感じに、同じ砂遊びだけれども他の子ども達と直接関わらず、それぞれ自由に同じことをして遊ぶのが並行遊びです。そばにいる子どもと関わったり、一緒に何かを作るなどの交流はありませんが、互いに関心を持っていて、近くの子の真似をして同じ遊びをしたりします。

子ども達の遊びは発達が進むに連れて「一人遊び」から「並行遊び」、そして「集団遊び」へと変化していきます。大人は社会性を育むために一緒に遊ばせようとしがちですが、周りの子にちょっかいを出してしまうというようなときは、並行遊びをすることで周りとの社会性を身に着けていくのを後押ししてあげましょう。

2.叩いたりつねったりする理由に共感する魔法の言葉

親から見るとどうしても「叩いたほうが(つねったほうが)悪い。」と、叩いたりつねったりした子を怒ってしまうかもしれません。そうするとどうしても、その子の気持ちに共感するのが難しくなります。しかし実は、お子さんがそばにいる子を叩いたりつねったりするのには、何かしら理由があります。

例えば、

それまで遊んでいたおもちゃをお友達に取られそうになった ⇒ お友達をたたいた
ママに話しかけたかったけどママは妹にかかりっきりだった ⇒ 妹をつねったり、ママを叩いた

などというように、お子さんが叩いたりつねったりする前には、何か嫌なことが起こっていることが多いです。いいかえれば、「たたく、つねる」といった行為は、「僕を見て!」「私の気持ちをわかって!」という子供なりのサインです。ですからそういう時は、この魔法の言葉をかけてあげてください。

「何か嫌なことがあったんだね。」

この言葉を聞くだけで、お子さんは「わかってくれた」と感じますし、意地悪をした本当の理由を話しやすくなるでしょう。理由がわかれば、話をじっくり聞く、環境を変える、言葉でどう言い表したらいいのかを一緒に考える、などといった解決策を見出しやすくなります。

3.「叩くのはよくないこと」というのを伝える

どんな理由があったとしても叩くのは良くないことですし、しっかりそのことを伝えるのは親の役目です。しかしここで、「おまえは悪い子だ。」とか「困った子ね。」というレッテルを貼ってしまうと、子どもは「理解されていない」と感じて不満をため込んでしまいます。

叩いたりつねった後の伝え方にもコツがあります。それは「叩いたあなたが悪い」のではなく「叩くことは良くない」ということを伝えることです。そうすると子どもも、「僕・私は悪い子」と受け取らず、自己肯定感が下がることもありません。

「叩くのは良くないことだよ。だって、誰だって叩かれたら痛いよね。」などといって、叩かれた相手の気持ちも伝えてあげると小さなお子さんでも理解しやすいでしょう。

子どもの自己肯定感を高める声かけ集

叩いた相手への対処法

叩いた子の対応と同時に、叩かれた子どもへの対応も大切です。

「大丈夫?痛かったね。びっくりしたね。」と叩かれた子の気持ちに寄り添い、フォローしてあげましょう。そしてまずは、叩かれたりつねられた場所をチェックして、けがをしていないかたんこぶができていないかを確認しましょう。もしもケガをしてしまった場合には、すばやく応急処置を行う必要があります。

それから、叩いた子と一緒に「痛かったよね。ごめんね。」と謝りましょう。子供がなかなか謝らない場合は、親だけでも先に謝りましょう。親が謝る姿を子どもに見せることで、子どもにも「叩くことはいけないことなんだ」というメッセージが伝わります。

傍に叩かれた子のお母さんがいたら、自分の子どもが叩かれていい気がしないでしょう。叩いた子の親として、恥ずかしさや申し訳なさでいたたまれなくなるかもしれませんし、自分の子どもに怒りを感じるかもしれません。しかし、子どもがお友達を叩いたりすることはよくあることなので、あまり神経質にならずに誠意をもって対応しましょう。

子どもの問題行動の対処法に関する記事

イヤイヤ期の子どもの脳のメカニズムと上手な付き合い方

兄弟げんかを仲裁する方法

子どもがやる気になるために親が出来る3つのこと

叱るのは逆効果!子どもの問題行動の対処の仕方

まとめ

相手に気持ちを伝えたり、周りの人たちとうまくやっていけるといったソーシャルスキルを身に着けることは、子どもがこれから学校や社会で生きていくためには不可欠な能力です。

子どもはまだまだそれが身についてはいませんし、考えるよりも先に手が出る子も多いですが、それは決してその子が悪い子だとか、意地悪だというわけではありません。

親としてできることは、子どもがまだ成長途中にいるということを理解したうえで、その子の成長段階に合わせて環境を整えたり、どうコミュニケーションとるといいかを教えることです。

もし成長面や環境面を整えても、なかなか叩くつねるといった行為が無くならない場合は、お母さん一人で抱え込まず、家族や学校の先生、小児科の医師や児童相談所の相談員さんなどに相談して何かしらのサポートを得るようにしてくださいね。

私の方でも子育ての無料相談を受け付けていますので、よかったらおいでください。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

マレーシア在住 心理カウンセラー・ヒプノセラピスト。海外在住歴20年以上の経験から海外在住者ならではのお悩みや、国際結婚をした女性を対象としたカウンセリングを得意とする。子育てや人間関係の悩みから過去のトラウマや恐怖症の克服など様々なお悩みに幅広く対応。カウンセリングと催眠療法・タッピングなどを組み合わせた独自の心理療法で、ポジティブな変化を促すとともに、自分に自信がもてるようになることを目指している。