宿題に取り掛からないで、家でダラダラしている子どもを前にすると、ついイライラして「宿題はしたの?」「いつ始めるの?」と声をかけたくなります。どうやったら子どもをやる気にさせるか、悩みは尽きないと思います。
私の講座ピースフルママでも、宿題嫌いだったり、宿題をやらない子供に困っているという話は、よく話題に上がります。宿題に対してやる気がない、宿題の時間を約束してもなかなか始めないといったお悩みをお持ちのママは多いです。
そこで今回は、このように宿題を自ら進んで取り掛からない子どもに、いつももどかしく感じているママのために、知らず知らずのうちに、宿題をするやる気をそいでしまう親の3大NG行動と子どもをやる気にする3つの行動についてお話しします。
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子どもが宿題をしない3つの理由
まず、なぜ子どもが宿題をしないのか?その理由は3つあります。
- 宿題が難しい
- 宿題がめんどくさい
- 宿題することに意味を感じない
宿題をしない理由①宿題が難しい
宿題の難易度が子どもの理解度に合っていないと、問題が解けないこと自体が苦痛ですから、したくないと思うのは当然です。基本的なことが身についておらず、問題が解けないという場合もありますが、大抵は、単に問われている問題の意味がわからなかったり、勘違いをしていたり、といったこともあります。
宿題をしない理由②宿題がめんどくさい
宿題をこなすにはある程度、時間や労力、精神力が必要になってきます。学校で何時間も机の前に座って勉強して、さらにクラブや塾までこなして帰ってきたあとは、疲れてしまって宿題をする意欲がわかず、めんどくさく感じる子もいるかもしれません。子供でもリラックスしたり、好きなことをしてリフレッシュする時間が必要な時はあります。
宿題をしない理由③宿題をすることに意味を感じていない
現代は、だれもが教育を受けられるすばらしい環境ですが、逆に「何のために学校に行くのか?」がわからないまま学校に通っている子供も少なくありません。ですから、何のために宿題をしないといけないのか?これを学ぶことで何が得られるのか?といった大きな視点を見失ってしまうことがあります。中には、「ママに怒られるから宿題をする」「テストで悪い点を取らないように勉強をする」といった子も少なくありません。「強制的にやらされている」という感覚では、モチベーションが湧かないのも当然です。
だれでも、嫌な事は本能的に避けたいもの。そんなときでも、親が適切なかかわりをしていれば、子どもをやる気にさせることもできます。逆に、親がやる気をそぐようなかかわりをしていると、子どもは宿題がもっと嫌になったり、親に対しての反発心が強くなったりします。
宿題やる気をそぐ親の3つのNG行動
子どもが宿題をしたくなくなる親の3大行動はこの3つです。
- ガミガミと小言を言い続ける
- 子供が傷つくような声掛けをする
- 宿題が出来ないことを子どもの努力不足のせいにする
やる気をそぐ3大NG行動①ガミガミと小言を言い続ける
最初は優しく声掛けしていても、子どもがすぐに机に向かわなかったり、宿題を後回しにしてダラダラしていたりするのを見ると、どうにももどかしくなってガミガミと小言を言ったり、だんだん声を荒げてしまうことってありませんか?
でも実は、「宿題しなさい!」「夕飯までに終わらせなさい!」「やらないとゲームはなしよ!」などと、宿題についてしつこく言い続けることは、実はこどものやる気をそいでしまいます。実際にやろうと思っていたタイミングで、「まだやらないの?」などと親が声をかけて、かえって「やる気が削がれる」という事もあります。
例えば、私たちだって夕ご飯の準備をしているときに、「ママ~、ご飯まだ?」「まだできてないの?」「もうお腹空いたよ~!」「なんでもっと早く作らないの?」などと、子どもがしつこく言ってきたら、イラっとしませんか?「もうわかってるから、黙ってて!」と言いたくなりますよね?
私たちでも、分かっていることをしつこく注意されることは嫌ですし、自分の仕事は自分のペースでやりたいと思うもの。それは子供でも一緒です。ガミガミと叱り続けることは、かえって逆効果です。
やる気をそぐ3大NG行動②子供を傷つける声かけをする
例えば、なかなか宿題を始めない子どもに対して、「どうしてあなたはそんなにぐずぐずするの?」「遊んでばかりで勉強しないと、バカになるよ!」「何度言っても宿題しないなんて、本当にダメな子ね!」などというように、子ども自身を否定するような声かけをしてしまうことはありませんか?
「宿題をしないんだから、言われてもしょうがない。自業自得だ?」という風に思う方もいるかもしれませんが、子ども自身を否定することに、何のメリットもありません。それどころか、子どもは「私はぐずでバカでダメな子だ」と、自分の人格を否定されたように感じて傷つき、自己肯定感は下がる一方です。このような声掛けは、子どもを傷つけてしまいます。
私たち大人だって、自分のことをひどく言われたら、やる気を失います。このように子どもの人格を否定するような声かけは、すでに低いモチベーションを上げるどころかさらに下げてしまいます。
やる気をそぐ3大NG行動③子どもが宿題を解けないのを子どもの努力不足のせいにする
「宿題が解けないのは、あなたがちゃんと勉強しないからよ」「学校で何を勉強してきたの?」「先生の話、ちゃんと聞いてるの?」「いつも練習しなさいと言っているのに、ちゃんとやらないからいつまでたってもうまくできないじゃない!」というように、宿題が解けないのは、これまでの行いが悪いからだといった叱り方も、NGです。このような叱り方は、こどものこれまでの努力をすべて否定してしまい、「どうせぼくはやっても無駄だ」「どうせ私はバカなんだ」などといった思い込みを生んでしまうかもしれません。
このようなに、やる気がそがれて、宿題をするモチベーションが低くなってしまった子どもは、宿題に対して、さらに苦手意識を感じるようになるかもしれません。
なぜこのようなNG行動をとってしまうのか?
なぜこんな行動をしてしまうのかというと、ママ自身が「宿題をしない」「勉強がわからない」ということにとても不安を感じているからです。
学力社会の今、お受験に成功させることや良い学校に行かせることが、子どもの将来を決めてしまうような気がして、大きなプレッシャーを感じている方も多いと思います。そんなプレッシャーを自分だけでは解消できないために、プレッシャーから生まれた不安やイライラを子どもにぶつけて解消していることが多いです。
つまり、子供が宿題をしないから不安なのではなく、自分の中にすでに「不安」の種があって、それを子どもが刺激するから、イライラしたりカッとなったりしていることがほとんどなのです。
人は感情が高ぶると、理性の働きが弱まって感情のまま行動します。そうすると、自分の言動が子どもを傷つけているという自覚もなく、思ったことが口から出てきます。カッとしてつい子供を責めて意地悪なことを言ってしまったり、ひどい言葉でののしってしまったりするかもしれません。言わないようにと我慢していても、結局は爆発してしまい、叱った後に、「あんなこと言うんじゃなかった」と一人反省会してしまうことになります。このように、イライラと反省を繰り返す負のループに陥ってしまっているママもいるかもしれません。
この負のループから抜け出すには、ママが自分の中にある「不安の種」を解消することが、とても大切です。そうすることで、自分の不安を子どもにぶつけることなく、もっとニュートラルな立場から子どもをサポートできるようになります。
子どもをやる気にするための親ができる3つの行動
これまでたくさんの親子関係を見てきましたが、母親と子どもが安心感と信頼で結ばれて、しっかりコミュニケーションをとれている場合、子どものやる気がぐんと伸びて宿題も自ら取り組むようになったなったケースが多いです。では、子どもをやる気にするために、親はどんなことをすればいいでしょうか?それは、この3つの行動だと思います。
- 子どもを信じる
- 宿題をしたくない理由を理解する
- 宿題が出来るように必要最低限のサポートをする
やる気にする3つの行動①子供を信じる
子どもはもともと、いろんなことに興味を持っていつも新しい事を学びたいという欲求がもともとあります。ですから子どもが宿題をしたいし、学びたいと思っていることを信じてあげることが大切です。
がみがみとしつこく宿題のことを言っているときは、決して子どもを信じていません。子どもに宿題をするのはいつかを確認して、信頼して任せるという態度がまず大切だと思います。
もちろん、子供だから忘れたりほかの事に夢中になることはあるということも、念頭に置いておいてください。もし忘れていたら、優しく声掛けをして、また信じて待てばいいだけですよね。
やる気にする3つの行動②宿題をしたくない理由を理解する
宿題をしたがらない時は、したくない理由があります。疲れているのかもしれないし、なにか別のもっと楽しい事をしたいのかもしれません。もしかしたら、苦手で分からないところがあって困っているのかもしれません。なぜしたくないのかを理解してあげることが大切です。
子どもの話を聴いて、理解し共感してあげるだけでも、子どもは「ママにわかってもらえた」という安心感を得られ、それがやる気へとつながります。
やる気にする3つの行動③宿題が出来るように必要最低限のサポートをする(足場作り)
宿題自体が難しいかったり、分からなかったりすると、なかなかやる気になれなものです。ですから、宿題をやりたがらない時は、何が問題なのかを見極める必要があります。そして、その子にとってハードルが高い宿題であれば、何につまづいているのかを理解してあげて、出来るように必要最低限のサポートをしてあげることが、子どもをやる気にするうえでとても効果的です。
これを、心理学用語では(Scaffolding:足場作り)と言います。足場作りは、子どもの発達をサポートするうえでとても重要なコンセプトです。例えば、子どもが高いところにある本やおもちゃに手が届かない場合に、踏み台を準備してあげることで、子ども自身、本やおもちゃに手が届くようになります。つまり、大人が子どもの成長や学びに合わせて必要な踏み台を準備することで、子どもが自ら問題解決できるようになっていきます。
宿題を難しいと感じている子には、子供が主体的に取り組めるような「踏み台」を用意してあげることが必要な子もいるかもしれません。そうすることで「私もやればできるんだ」という自信をつけていきます。
まとめ
宿題はたださせればいいのではなく、子どもが自ら取り組むことで学びを定着させることができるようになります。そのためにも嫌々ながらやったりただ機械的にこなすという状態はなるべく避けたいものです。そのために親ができることは、強制的に宿題をさせるのではなく、「ぼくは・私はできるんだ!」と思ってみずから動ける環境づくりです。
親自身が感情のマネジメントをすることで、子どものやる気をそぐ行動は回避できるようになります。ニュートラルな立場から、子どもの日々の努力を認め、サポートしながらも、自主性を大切にしてあげることで、子どものやる気もぐんとアップして、いくことでしょう。
心理カウンセラー井藤まさこが主催する講座「ピースフルママ」では、ママが穏やかに子育てができる様々なツールやマインドセットをお伝えしています。子供に対するイライラが止まらないという方は、ピースフルママ無料相談にご参加ください。