子育て中のお母さんたちの悩みを聞いていると、こんなフレーズに出会うことがちょくちょくあります。
「してはいけないとわかっているのに手が出てしまいます」
「思わず暴言を吐いてしまいます」
なかなか思っているようにできなくて、自分の感情が暴走して結局子供を傷つけてしまうことを経験している方は多いのではないでしょうか?こういう時は、思考の部分と感情の部分がそれぞれ自己主張して、自分の中で感情のアクセルと思考のブレーキを交互に踏んでいるような状態です。
思考を優先させれば、感情が付いていけなくてイライラするし、とはいえ感情を優先させると、子どもを傷つけて罪悪感を感じる。自分の感情が自分の物ではなくなってしまう感覚。私にも覚えがあります。
今回はどうしてこのように思考と感情が一致しないのか?そういうときはどう対処したらいいのか?について、脳の進化から説明したいと思います。
3つの脳の進化
イエール大学の神経科学者ポールマクリーン博士が、1960年代に提唱した脳の理論上のモデルによると、人間の脳は太古の脳の基本的構造を保ったまま、地層のように新しい脳が付け足される形で進化してきたとのこと。
三つの脳とは「爬虫類脳」「哺乳類脳」そして「人間脳」です。
普段はそれぞれが独立した役割をもちつつも、連動しながら様々な情報を処理しています。しかし、脳にストレスがかかってしまうとこれが連動しなくなっていくんです。そういったお話をポッドキャストでしています。
三つの脳について学ぶのにお勧めの本
三つの脳の進化 新装版
ポール・D・マクリーン (著), 法橋 登 (翻訳)
人間の脳は長い生物進化の歴史を内臓し、爬虫類脳(反射脳)、哺乳類脳(情動脳)、人間脳(理性脳)の相互作用で働くとするポール・マクリーンの「三位一体脳モデル」を神経生理学的、臨床的研究によって示している。
ネガティブな感情もなにかを伝えたがっている
脳の進化の過程で、私たちの脳の進化は生命のサバイバルと密接にかかわってきました。例えば、哺乳類は群れで行動したほうが生存の確率が高く、一匹でいることは生存の危険性を意味しました。犬や猫、馬などが人になつくのももとをただせばこの「哺乳類脳」のおかげ。
そして私たち人間にとっても、人とのつながりが嬉しいのも、ひとりぼっちになると寂しさや恐れを感じるのも、この哺乳類脳が生存するための最善の方法を教えてくれているのです。
人間脳(思考の部分)と哺乳類・爬虫類脳(感情の部分)がそれぞれ自己主張しているとき、それはあなたの脳のそれぞれの部分が、それぞれの方法で自分を守るために対立しているときなのです。
ただ現代の私たちは人間脳(思考の部分)へのインプットが多くなっていて、たくさんの「こうあるべき」や「あたりまえ」にがんじがらめになっています。そんな制約に自分の体を守りたい哺乳類・爬虫類脳(感情の部分)が、「いや!そんなことしていたら心やからだがもたなくなってしまうよ!」とSOS信号を送ってくれているだけなのです。
だから、どんな感情も自分を守るために発せられているサイン。ネガティブな感情はダメな感情などと無視したり切り捨てるのではなく、この感情は自分を守るために何かを伝えたがっているのかもしれないと、好奇心と優しさをもって心に問いかけてみてください。
そして心からの声にじっくり耳を傾けると、きっとこれまでとは違う視点で問題を見ることができるようになるでしょう。
もし一人では無理という場合は、ぜひカウンセリングへ来てみてくださいね。
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イライラやウツウツとしたネガティブな感情で悩んでいる方におすすめの記事です。