人間関係の境界線バウンダリーを引くための4つのステップ

バウンダリーとは、自分と他人の間に引く人間関係の境界線です。

このバウンダリーがあいまいだと、相手のバウンダリーに自分が踏み込んでしまっていたり、相手が自分のバウンダリーを超えて入ってきたりして、人間関係に問題が生じます。カウンセリングをしていると、様々な人間関係の悩みを抱えている方がこられますが、その悩みの大半がバウンダリーの問題であることが多いです。

そこで今回は、このバウンダリーとは何か、そしてバウンダリーを引くための4つのステップをご紹介します。

バウンダリーとは

例えば、あなたの家に垣根や塀がなかったとします。ある日隣の家の住人が、あなたの敷地内にまではみだして車を停めるようになりました。自分の敷地内にはみ出して停めてある車を見るたびに、あなたはモヤモヤします。こういう場合どうしますか?

垣根や塀は、家と家との境界線を目に見える形で示しています。 家の境界線があることで、私たちは自分の所有物を守り安全を確保して、心地よく生活することができます。

でも、この垣根や塀がないと、隣の人が勝手に敷地内に入ってきてしまうかもしれません。そういう時は、「ここは私の敷地内で、この中にあるのは、私の所有物なので、触ったり、物を置いたり、勝手に持っていかないでください」と伝える必要があります。

この垣根や塀と同じように、人と人の間にも目に見えない境界線が存在します。それを専門用語ではバウンダリーといいます。

バウンダリーは自分の所有物を守り、自分自身が心地よく生活するために必要なものです。自分の所有物というのは、自分の肉体や意志、時間といったものなのですが、これがほかの人に犯されると、私たちは不愉快に感じて心地よい生活が送れません。

しかし、垣根や塀とちがって、人と人の間のバウンダリーは目に見えません。だから、うまくバウンダリーが引けていない事もあります。バウンダリーがうまくひけていないと、人間関係に悩みを抱えたり、人の言ったことやしたことにモヤモヤしたり、なんだか生きづらく感じます。

例えば、こんなことに心当たりがある方は、バウンダリーがうまく引けていない可能性があります。

  • 自分が意見を言わずに、周りの人に合わせてしまう。
  • 面倒なことを押し付けられてもNoといえない。
  • 頼まれた事を断るのに、罪悪感がある。
  • 親に口出しされても我慢している。
  • 自分で決められず、人の意見を優先させている。

バウンダリーがないと、人間関係がとても辛く感じます。いつも他人軸で、自分自身がやりたいということがわからなかったり、うまく自己主張できずモヤモヤします。なぜか満たさず、自信もなく、自分自身に対してもっとダメ出ししたりしてしまいます。

日本は個より組織を重視する社会なので、このバウンダリーに対しての意識が低く、それに対して、外国人は早くから個人主義を教え込まれていて、自分の意見をちゃんと言える文化で育てられたため、バウンダリーに対してもとても高い意識を持っている人が多いです。

日本人が外国人と一緒にいて、「外国人は自分勝手で気が利かない」「まわりの空気を読まない」などと戸惑いをおぼえることがあるのは、このバウンダリーの意識の違いからきているかもしれません。

バウンダリー違反の例

私の例をお話ししましょう。以前私は義理の親と同居をしていました。長男が2~3歳の時、私がもう着れなくなった子ども服やおもちゃを整理して、収納ボックスにまとめていたんですね。そうしたら、義理の母がいつのまにか、勝手にそれを親戚にあげてしまいました。

それを知ったとき、本当にショックで怒りすら覚えました。もちろん、服やおもちゃの中には義理の母が買ってくれたものも多かったのは事実です。でも、それは私たちのものであって、彼女のものではありません。私の中では、二人目が生まれた時におさがりとして使いたいものもたくさんあったのです。

ですから、それを知ったときに義理の母にはっきりとこう伝えました。「次からは、勝手に私たちのものを人にあげないでね。おさがりを誰かにあげたいときは、先に私に相談してね。」こう伝えてからは、彼女は勝手に私のものを人にあげることはなくなりました。

次に、私のクライアントさんの例ですが、子どもの頃から干渉的な母親に結婚後も悩んでいる方がいました。クライアントの母親は家に遊びに来ては、彼女の家事や子育てについてチクチク嫌味を言うので、母親が来る日は気持ちも落ち着きませんでした。

しかし、彼女は母親が来るのを断れないでいました。孫に会いたいと言ってくる母を断ることに対して、罪悪感を感じていたんですね。そこで、このバウンダリーについて学んだあと、自分の気持ちも大切だということに気が付き、気が乗らない時は断ることにしました。

ある日、電話で断ったにもかかわらず、休みの日に両親が1時間かけて彼女の家に押し掛けてきました。その時、彼女は「今日は家族で用事があるから」と玄関先で伝えて、ご両親に帰ってもらったそうです。後ほどその報告を受けて、二人でよくできたねとお祝いしました。

バウンダリーをひくことで得られるもの

これまで、バウンダリーを引けなかった方は、気持ちが優しい方が多いです。自分が断って相手を傷つけるのが怖かったりします。そして、バウンダリーをひくことに対して、恐れを感じたり、自分の気持ちを伝えることが相手に対して何か悪い事をしているかような罪悪感を感じるかもしれません。

でも、バウンダリーをひくことは、実はたくさんのメリットがあるんです。例えば、私が義理の母に対してバウンダリーを引いていなかったときは、私は義理母が良かれと思ってすることを「余計なお世話」だと思っていました。そしてそれを受け入れながらもいつも恨みを持っていました。その小さな恨みが積もり積もって、一つ屋根の下に住みたくないと思うくらい、義理の母のことを嫌いになっていました。しかし、バウンダリーをひいて自分自身を守れるようになったことで、義理の母も私の嫌だと思うことはしなくなり、今では心地良い関係を保つことができるようになりました。

こんなふうに、バウンダリーがどこにあるかを示すことで、相手との関係も良好に保つことができ、もっと自然体のままでその人と接することが可能になります。自分の意志を自分が尊重することで、モヤモヤも減ってあなたの心に平穏が戻ってきます。なによりも、人間関係をうまく保てるようになると、自己肯定感も上がっていきます。

バウンダリーをひく4つのステップ

バウンダリーを引くのは、相手を拒否する事でも受け入れない事でもなく、「ここからここまでは自分の領域、そこから先はあなたの領域」ときちんと線引きするものです。

このバウンダリーがしっかりと引けるようになると、人間関係で悩む事も少なくなります。また、バウンダリーを超えて侵入してこようとする人から、自分の身を守れるようになります。

では、バウンダリーのひきかたを4つのステップにわけて説明します。

1.自分の領域について自覚する

そのためにはまず、「自分の領域」について自覚する必要があります。自分の家がどこからどこまでかわからなければ、壁や垣根をつくることは出来ません。まずは、ここから入られたらNGという線引きをきちんとする必要があります。

もしどこに線引きすればいいのかわからない場合は、人から何かたのまれたり、何かをされたときにネガティブな感情が起こらないかを確認してみてください。バウンダリーを侵されているとモヤモヤしたり、気分が重たくなったり、怒りを感じたり、悲しくなったりします。そういうネガティブな感情が湧き上がったら、相手がバウンダリーを超えてあなたの領域に入ってこようとしている可能性があります。

2.自分の気持ちを大切にする

バウンダリーを引くときは、「私は自分勝手ではないのか?」とか「こんな事をいったら、冷たいと思われるのではないか?」など他人からどう思われるかを考えて悩んでしまうかもしれません。しかし、あなたのバウンダリーは、あなた自身を守るためにひくものです。あなたが自分を守らなかったら誰が守ってくれるのでしょうか? 罪悪感を感じる人は、まずは自分でバウンダリーを引くことを許可してあげましょう。自分の気持ちを大切にする事が先決なのです。

3.自分の意見を相手に伝える

次にバウンダリーを引くために必要なのは、自分の意見を相手に伝える事です。

例えば、最初の例でいうと、「家の敷地内に勝手に車を停めないでください」「我が家の野菜や花を勝手にもっていかないでください」というのは、自分の所有物を守って心地よく生活するために当然のことですよね?相手が気を悪くするからと、言わないで置いたらもっとモヤモヤが溜まるでしょう。

バウンダリーを侵されないようにするには、しっかり自分の意見を相手に伝えることがとても重要になことです。

4.伝えられた自分を褒め、その結果をポジティブにとらえる

自分の意見を相手に伝えることに慣れていないと、意見を伝えた後にネガティブな感情がわきあがってきたりします。

そういうときこそ、伝えられた自分を褒めて、バウンダリーを守る行為によってどんなよい事がおきるのか?そのメリットにフォーカスしましょう。これからバウンダリーが侵されることが減れば、あなたも心地よく生活できますし、長期的に見てその人との関係がもっと良くなるかもしれません。

ただ、人間関係に悩む方の中には、子ども時代に親からバウンダリーを侵されながら育っているばあいがあります。例えば、自分がなにかすると親が優しくなるといった風に、自分の気持ちより親の気持ちを優先させて育つと、自分のバウンダリーへの意識が低かったり、バウンダリーを侵されている事すら意識に上らないこともありますし、自分の心地よさが何なのかがわからない場合もあります。

また、大人になってから子どものバウンダリーを知らず知らずに侵してしまっていて、親子関係がうまくいかないという場合もあります。そういったときは、カウンセリングをうけられるのが解決の近道です。

さいごに。。。

バウンダリーの問題はあらゆるところに存在しています。ですから、自分の領域を守って心地よく生活するために、バウンダリーを意識して引くようにしてみましょう。

そのためのバウンダリーを引くステップとしては:

  1. 自分の領域について自覚する
  2. 自分の気持ちを大切にする
  3. 自分の意見を相手に伝える
  4. 伝えられた自分を褒め、その結果をポジティブにとらえる

ということをお伝えしました。

人間関係があればその数だけバウンダリーが存在しますし、目に見えないからこそ、侵されたり侵したりしてしまうものです。ですから、バウンダリーをひくということは、何か特別なことではなく、必要な時にいつでもどこでもできる、人間関係向上のツールです。ぜひ、自分の心地よさと感情を大切にして、バウンダリーを引いていきましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

マレーシア在住 心理カウンセラー・アロマクラフト講師。海外在住歴20年以上の経験から海外在住者ならではのお悩みや、国際結婚をした女性を対象としたカウンセリングを得意とする。子育てや夫婦関係の悩み、親子関係のトラウマなどを感情から開放するセラピーをオンラインにて提供中。